一般社団法人 日本顔相学会

Face Reading association japan
2020.07/16

TV番組を読み解くー批評第1号ー
「突然ですが占ってもいいですか?」編

世の中が新型コロナウイルス感染拡大で混乱するさなかの4月、フジテレビ系列でスタートした番組がある。

それは「突然ですが占ってもいいですか?」というフジテレビ系列2020年4月15日放送開始毎週水曜日22:00-22:54の「占いバラエティー番組」だ。

パイロット版が深夜に放送されて、評価を得たことからレギュラー化された。

毎回さまざまな占い師が登場しては占っていき、スタジオで沢村一樹・水野美紀・みちょぱこと池田美優が「見届け人」としてVTRを見守る。

実はこの番組はテレビ東京系列の番組を真似たものだと言われている。

番組名は『家、ついて行ってイイですか?』にそっくりで、一般人にスポットを当てるという特徴も
似ている。安易にアイデアを真似たためか、内容に関しても放送前から疑問が相次いでいた。

コンセプトを真似るという出発点もさることながら、占い師の選出にも問題もあるようだ。

さて、この点の評価はいったん横に置くとして、
筆者が言いたいことは「占い」そのものに関してのことである。


7月15日の放送で「顔相占い」が特集された。番組ではある顔相占い師が登場して、顔相鑑定をしてみせた。

筆者はその顔相占い師を個人攻撃するつもりはない。鑑定の真偽を一つ一つ評価することもしないつもりだ。

しかし、この番組を見ていてどうしても一言モノ申せずにはいられないことがある。

番組内で夫婦問題を相談した妻が別室にいた夫を呼び入れ急遽、予定にない夫の顔相鑑定をする場面がある。

顔相占い師は、突然、呼び込まれた夫の顔を観て、わずか数秒でぺらぺらとしゃべりだすのだ。

「占いバラエティー番組」というだけあって、多分に娯楽が盛り込まれていることは否めない。

だから、編集や演出は当たり前のこととして受け止めなければならないことも承知している。

番組の流れとしては、いきなり夫が登場して、あたかも顔相はパッと顔を観ればすぐになんでもわかるような演出をしているが、実際は事前の打ち合わせがあって、しっかり準備しての鑑定だろう。

だが、これはいささか、顔相に対する誤解を招く演出なのだ。


筆者は常々、「占い」の真価を揺るがすような編集は、有ってはならないことであると考えている。

古くから伝わる観相(顔相)の書(玄竜子相法)に「観相の法則」というものがある。

その中に「みだりに判断すべからず、心を丹田に落ち着け必ず人に呑まれず、約5分間熟視するべし。」
という教えがあるのだ。つまり、顔相を観るにはある程度の時間が掛かるということである。

幾ら編集で夫の顔を観察する時間をカットしたにしても、あまりに簡単にぺらぺらと話し出すのは
間違いである。そして、顔相占い師は顔のパーツだけを鑑定していた。珍しくもなく、「鼻が大きいから金運がありますよ」などと言っている。本来、顔相とは、輪郭がどうだの、目が大きい小さいだの、鼻が高い低いだの、とパーツの形や大きさだけで判断できるような単純なものではないし、そんなに浅い学問ではない。

『骨格(こっかく)は一世(いっせい)の栄枯(えいこ)たり。気色(きしょく)は行年(こうねん)の休咎(きゅうく)を定(さだ)む』この一節は古典の神異賦の本文の最初に出てくるのだが、この文は「人相術の根本」と言ってよいだろう。どういう意味かといえば、「顔のパーツの形や大きさは一生の吉凶を表すもので、いまの運勢は気色(色や艶)でみる」ということである。

つまり、今の状態を知るためには気色を見なければわからないということなのだ。

この気色を観るためには、前記でも触れたが観相には充分の時間を要するのである。

実際、いくら鼻が大きくても、小鼻の脇や鼻の下に赤い線が出ていれば出費があるわけで、
今の運勢的には金運があるとはいえない。要するに顔相というものは顔のパーツだけ見て判断できるというものではないということなのだ。仮に前出の顔相占い師が顔相のプロフェッショナルというのなら、この部分を無視してはならない。また、問題はこれだけではない。占いには色々な占いがある。


四柱推命鑑定は生年月日が占う時の基本情報。生年月日を間違わなければデータは誰がやっても同じだ。

ところが、顔相鑑定はそうはいかない。例えば「口が大きい」と判断したとしよう。

ところで「口が大きい」とは何を基準に大きいと判断するのか? 何センチなら大きいと判断するのか?
誰と比べて大きいと判断するのか? その判定の仕方はどうなのだ。 こんな、疑問が起こると思う。

顔相では自分の左右の瞳の中心から垂直に下した線より口がはみ出ていることを「口が大きい」と
判断するのである。ところが、前出の顔相占い師は、線を垂直に下さず、判断を誤った。また、
眉もカーブがついた眉であるにもかかわらず一文字眉と誤った判断をした。

つまり、占う元となるデータの見極めを間違っているのである。眉についていえば、
一文字の眉は男眉ともいい、性格も男らしいとされている。

鑑定してもらった女優はどう見てもアーチ形のカーブした眉であるにもかかわらず一文字眉と判断された。

前記の通り、一文字眉は男らしい眉、つまり女でも男前な性格の人であるというわけである。ちなみに、
この女優はアクションも得意で、さっぱりとしたタイプのボーイッシュなイメージの女優さんであった。
だれもが知っている、感じているイメージを優先して、答えを合わせにいった鑑定にはいささか疑問が残る。

どんな占いでもそうだが、占った結果はいいことばかりではない。
時には、耳ざわりのよくないこともあるのだ。ところが前出の顔相占い師は悪いことは言わず、
誰にでも当てはまるような、耳ざわりのいいことに終始していた。

この顔相占い師は過去に女性政治家を顔相鑑定でこきおろしてメディアやネットで大炎上した前例がある。

そのためか、鑑定の内容は当り障りのない内容しか言えなかったのだ。もし、多くの人が観るであろう全国ネットの番組に出るのであれば、顔相占い師にはもっと顔相の研鑽を積み、顔相学の価値を下げないようにしてもらいたいと言いたい。

歴史の中で口伝や書物で永く受け継がれてきた観相法は人間の叡智であり人の生活に役立つ学問である。
顔の中のパーツ1つで全てを的中させたかのような演出と遊び感覚で顔相鑑定が扱われることに対してここに論考を残しておきたい。
さらに、「1秒で分かる人相術」なる新著もあるようだが、人の顔とは魔法のようにそうやすやす鑑定、
見極めができるものでは無いのだ。

人の顔は、その人が生きてきた履歴書であり人生を映し出している鏡であるのだから。

2020/7/15(小相元筆)


※本文の内容は、顔相学的な見地から導き出した学術的な考察です。

 特定のサービスや当該人物の誹謗中傷、人格否定を目的とするものではありません。

※本文を無断で複製・転載することを禁じます。

© japan face reading association inc.2020


戻る

更新コラム一覧

TV番組を読み解くー批評第1号ー「突然ですが占ってもいいですか?」編

NEW 2020.07.16

観相法で読み解くー「顔羅万象」ーコラム第6号 【全国都道府県知事の性格分析&顔相偏差値:関東編】

2020.06.17

観相法で読み解くー「顔羅万象」ーコラム第5号 【全国都道府県知事の性格分析&顔相偏差値:北海道・東北編】

2020.06.09

観相法で読み解くー「顔羅万象」ーコラム第4号 【政治編 吉村大阪府知事】首長のコロナ対策と器量の考察その1

2020.05.08

観相法で読み解くー「顔羅万象」ーコラム第3号 【政治編 河井案里】(2014年〜2020年で変容した顔)の考察。

2020.03.30


観相法で読み解くー「顔羅万象」ーコラム第2号 【政治編 安倍晋三】(第1次・2次・3次・4次で変容した顔)の考察。

2020.03.24


観相法で読み解くー「顔羅万象」ーコラム第1号 【世相編 法令線】の考察。

2020.03.15

一般社団法人 日本顔相学会