【世相編 法令線】の考察。
(日本伝:室町時代1393年〜1572年:「先天相法」ほか)
美容の本に「笑うと法令線が出る」などと書いているものがある。
これは、顔相学の知識をろくに学んでいない人が言うことである。
誰でも笑うと法令のところに筋が寄るが、それは法令線ではない。
普段の状態で、見られるものを法令線というのであって間違わないようにしてほしい。
最近はやたらと法令線を消すことに注目した本や化粧品が多い。
しかし、顔相学の観点からいうと、法令線は人間にはなくてはならないものである。
なぜ、なくてはならないものであるかを説明する前に、先ず「法令線とは何か?」から
説明しよう。
法令線は、金甲(小鼻)の上から出て、口のそばを通って下に流れる筋のことである。
顔相には色々な相法がある。
その一つに、鼻を君主、観骨を将軍、鼻から下(口唇の左右のところ)を下方民とする相法がある。
すると、金甲(小鼻)の上から出て、口のそばを通って下に流れる筋は、
君主である鼻から下方民へ命令を下していることに当たるので、この筋は即ち法令であるとみなされる。
これが鼻の両脇から出ている筋を法令線と名付けた理由である。
それでは法令線では、いったい何を観るのだろう。
両親のことや寿命のことなどを見ることができるが、一番は職業のことである。
法令線は、職業線であるから、はっきりと、深く出ているほど、口八丁手八丁の人が多く、
職業的には安定し、仕事に熱心で、生活能力がある人である。
反対に、法令線のない人は職業が安定せず、一定の職業を継続することができなくて、
転々として変わりやすい人である。
また、法令線は寿命をみるものであるから、長いのを喜ぶ。
口角のあたりを65歳とみて、そこまでもいかないような短い法令線だと短命とし、
それより長いのを長命という。
しかし、いくら長い法令線がいいといっても、口のすぐそばを通るのは健康的ではなく、
体が弱くて長生きをすることになるので、あまりいい相とはいえない。
このように、寿命や健康をみる一つの目安となる法令線であるから、長いだけでなく、
深いほどいいのである。
それから、法令線は、自分のテリトリーを守る縄張りの線でもある。
くっきり、ハッキリあると人に厳しく、自分の仕事にも厳しく頑張れる人だ。
法令がないと他人の責任を追及しないので、優しい人だと思われるが、約束が守れない、
努力しない人である。
要するに、法令線がない人は社会の一般的な規範や常識を守れない人である。
このようなことから、法令線は成人した者にはなくてはならないものである。
最近の人、特に女性はやたらと法令線を消したがる傾向が強い。
「法令線があると10歳老けて見える」などといって、必死になってマッサージをしたり、
化粧品を塗りたくっている。
そればかりか、時には美容整形までする人もいる。
昔の顔相の書には女性は、法令線がないほうがいいと記しているものもある。
しかしそれは、昔々、女性が仕事を持たず、男性に養われ、依存していた時代の話である。
美醜の観点から言えば、確かに法令線があると、実年齢より老けて見えるのかもしれないが、
人は歳を重ねるに従って、生きてきた証があるものだ。
法令線は赤ちゃんの時にはほとんど無いが、おおよそ25歳位から出てくる。
それは社会に出て、職業を持ち、世間や他人との関わりを持つことを意味するのである。
もし、法令線を無理に消したら、職業を転々とし、安定した生活を送れず、
健康も害し、短命になり、社会規範も守れない人間になるかもしれない。
また、美醜の点からいっても、「若いこと」を良しとし「老いること」を悪いとする、
美的価値観は、間違った価値観である。
人にはその時、その年齢に合った顔があるものだ。
単に若ければ美しいと考えるのは、愚かな考えと言えるのかもしれない。
法令線はシワではなく、紋なのだ。
はっきりと言うが、どんなに頑張ってマッサージをしようが、クリームを塗ろうが、
法令線はシワではないので消えない。
無駄な抵抗だ。
無駄なことをして、さらに運気を落とすことをしていることに気づかないでいる人たちに警告したい!
法令線は人間にはなくてはならない大切なものなのだということを!
2020/3/14 (小相元筆)
追伸:鬼籍に入った我が師より生前に授かったニックネームで筆を執る
※本文の内容は、顔相学的な見地から導き出した学術的な考察です。
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